反弾圧のたたかい

第52回公判報告

事件を立証できない検察側のいら立ち・焦り、混乱が深まる!!

 2006年9月8日、「えん罪・JR浦和電車区事件」第52回公判が行われました。
 今回の公判は、小黒さんに対する検察側反対質問が行われました。
 小黒さんは、これまでの弁護側主質問で明らかにしてきたとおり、検察官による取り調べの中で、脅迫的な言動によって「供述調書」の作成を「強要された」と述べ、事件のえん罪性をさらに明確にしました。
 真実が明らかになるに従い、事件を立証しようとしている検察側の混迷は深まり、法廷においての反対質問の中でもいら立ちや焦りが見られました。
 被告人質問の最終段階において、公安警察・検察の意図的なストーリーは大きく崩れました。

立証できないことに焦る検察官!

 小黒さんに対する反対質問は、逮捕当時に作成された「供述調書」に関する質問から行われました。
小黒さんは、逮捕され起訴されるまでの捜査機関において数通の「供述調書」を作成しましたが、いずれの調書も「検察官・警察官の言動によって作成させられたものであり、事実や自分の意志を語ったものではない」と述べてきました。
これに対し検察側は、当時の「検察官の取り調べは正当なものであり、『供述調書』は任意の供述であり、信用性は高い」と描こうとしていましたが、小黒さんは、「(しゃべらなければ)10年~20年(外へは)出られない」「(勾留が)長くなる」などと検察官から言われたことにより、精神的にも追いつめられていた状況を述べ、「『供述調書』の作成は強要された」という事実を明らかにしました。
また、「供述調書」の記載内容についても、検察官から「○○だったんだろう」といわれ、「ハイ」と答えたものがそのまま調書に記載されたという異常な誘導があった事実を述べました。

 裁判の中で検察官は、小黒さんの真実の証言に焦りを隠せず、異常なほどの早口で質問を行い、裁判長からも再三にわたって注意を受けるほどでした。また、「何を聴いているのかわからない」との注意も受けていました。
さらに、検察官自ら不適切な質問を行い、傍聴席からも失笑をかい、裁判長に対し、傍聴席を注意するよう求めましたが、裁判長は「まぁーいいじゃないですか。和やかに行きましょう」と訴えを一蹴される場面もありました。
検察官は、小黒さんに対する反対質問においても要点を絞りきれず、責めあぐねているようでした。

初めての逮捕・勾留での精神状況を理解できない検察官!

 「(強要罪での)最高刑は3年だと聞いて知っているにもかかわらず、検察官から『10年~20年出られない』と言われ、信じたのか」「弁護士に『そうはならない』と言われても信じなかったのか」などの質問が行われました。
しかし、法律の専門的な学習をしているわけでもなく、また、身に覚えのない罪での初めて逮捕・勾留における精神状況の中では、通常の判断などできないのです。まして、警察官・検察官による取り調べ時間は、毎日9時間以上行われるのに対して、弁護士との面会は、毎日ではなく、時間も30分に限られているのが現実であり、その時間の中でも家族状況などを聞けばあっという間に過ぎてしまうのです。
検察官の質問の中からは、自らのストーリーを押しつけることを目的としていることから、被疑者(当時)の精神状況を勘案するという人間としての感覚は全く見ることはできませんでした。
はじめての逮捕によって、家族とも強制的に引き離され、面会も弁護士とのみ許されている状況(接見禁止)の中で、家族のことを案じ、早く保釈されるために検察官の言うとおりの調書を作成しようと考えてしまうのは当たり前のことなのです。まして、検察官による「脅し」とも取れる言動によって勾留が長期化することが予想されればなおさらのことなのです。

 このようなことからも、逮捕当時に行われた取り調べはもとより、裁判においても真実の追及などは行われず、検察側ストーリーを押しつける「強要」が行われていたことが、明らかになりました。

退院後もすぐに取調べ = 追い打ちをかける検察官!

 入院中「人権無視」の扱いを受けた小黒さんは、退院後さらに異常な対応を受けました。それは、退院直後から検察官による取調べが再開されたのです。
検察官は「もう何人かの仲間はしゃべっている」「他の6名は過激派と関係があるから、一緒にやっていると大変なことになる」「自分にも同じような子供がいる。かわいそうだ」など心身共に衰弱している小黒さんに対して、追い打ちをかけ、「自白調書」の作成を強要したのです。

検察官による「脅し」=えん罪は取調室でつくられた!!

 今回明らかになったことは、逮捕当時に行われた検察官による取り調べでの「10年~20年出られない」「勾留は長くなる」「しゃべらないのは革マルと同じ」「もう限界なんだよ」などの脅迫的な言動でした。
その言動によって、精神的に追いつめ、検察側ストーリーに沿った「供述調書」を作成させられたのでした。

 この「えん罪・JR浦和電車区事件」以外にも「えん罪事件」が多数存在することが証明しているように、取り調べでは「脅し」を含め、被疑者を精神的に追いつめ、ありもしない「事実」を認めさせ、立件するという構図が浮き彫りになりました。
まさに、「事件」は「取調室でつくられた」のです。

「JR浦和電車区事件」は、平和運動を推し進めるJR東労組を壊すためにつくられた!

 今回の検察側反対質問では、当初検察側が描いていた「取り調べは正当なもの。供述調書は任意のもの。信用性は高い=検察側の主張が正しい」という構図は、小黒さんの供述によって、逆に検察官の「強要」を立証する状況となりました。

 被告人質問が進むに従い、真実が明らかになり、同時に検察側の「不当性」が明らかになっていきます。

 来年に控えている第一審判決に向けて、さらなるご支援をお願いいたします。

「えん罪・JR浦和電車区事件」を支援する会・賛同者10万人を達成させよう!
「公正・公平な裁判を求める署名」50万筆を達成させよう!

公正・公平な裁判が行われるように
今後もみなさんのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします

このページの先頭へ [↑]