反弾圧のたたかい

第42回公判報告
齊藤さん弁護側主質問・検察側反対質問

「小池・新裁判長」に公正・公平な審理を求めました!

 2006年1月19日「えん罪・JR浦和電車区事件」第42回公判が開催され、裁判官の交代に伴い「公判手続きの更新」を行いました。 「公判手続きの更新」とは、裁判官の交代があった場合、これまでの公判がどのように進んでいたのかを新裁判官に確認してもらうもので、非常に重要な手続きです。

 特に、小池新裁判長は、判決文を書くことが予想される裁判長であるため、これまでの公判内容をきちんと詳細にわたって理解を深めていただかなくてはなりません。
今回の公判では、午前中はY君が隠し持っていたICレコーダーにより録音していたテープの再生を行い、午後からは裁判長を含めた3名の裁判官より検察側証人・弁護側証人の証言の要約が述べられました。
裁判官からの要約では分かりきれない部分もあるため、これからの被告人側の「意見陳述」で訴える課題も明らかになりました。

「公判手続きの更新」にはどのような意味があるのか?

これまで、第1回から第21回までは木口裁判長、第22回から第41回までは安井裁判長が担当していましたが、今回から小池裁判長へ交代しました。

 第1回から第21回まで担当していた木口裁判長は、検察側証人として被害者といわれるY君や、Y君に嘘をつくよう指示をしたグリーンユニオンのA証人、そして浦和電車区の当時の区長・副区長などの証言を直接見てきました。これら検察側証人は、検察側尋問ではすべて「ハキハキ」と返答していましたが、弁護側反対尋問に移ると「返答に詰まったり、沈黙・反論」の繰り返しとなりました。また、証言態度も落ち着きなく手を膝の上でせわしなく動かすなど、混乱してる状況でした。
そして、その後の弁護側証人として福田・今井・上唐湊各証人の主尋問・反対尋問とも、よどみない証言を行い、検察側立証をくつがえしてきたのです。

 また、第22回から第41回まで担当の安井裁判長は「被告人質問」を中心に審理が行われている最中(前回で7名中4名が終了、5人目が反対質問に入っている状況)の交代でした。安井裁判長は、これまでの5名が真摯な態度で被告人質問に臨み、真実を訴えてきたこと、さらには、検察側の主張してきた「職場集会はつるし上げの場」「闘争委員会に大澗も出席」「不本意ながらY君を職場集会へ参加させた」などを証拠品や証言(供述含む)によって具体的にくつがえしてきたことや、被告人の表情や言動により供述の信用性が高いことを認識していたといえます。

 まさに、これまでの検察側ストーリーの破綻を目の当たりにしてきたのです。
また、これらの証人の表情・言動・感情などは『公判調書』には記載されないため、直接目の前で見ていた裁判官と、でき上がった『公判調書』を読んで判断する裁判官とでは事実をつかむ際に大きな差が出てくるのです。
それぞれの裁判長の心証は、新裁判長には引き継がれないため、当時の状況を正しく判断してもらうためにも「公判手続きの更新」は重要な意味を持つのです。
ですから、これまでの公判を新裁判官がどのように捉えているのかを確認する意味でも重要な意味を持ちます。
そして同時に、裁判所側が受け止めていなかった点について被告人・弁護側から真実をつかんでもらうために「意見陳述」を行い、公判のポイントを訴えていくのです。

録音テープ再生では、「つるし上げ」「脅迫」などの「強要」がなかったことを証明!

 今回の「手続き」では、午前中に客観的な証拠物からも7名の無実を証明させるために、Y君が当時隠し持っていたICレコーダーによる録音テープを再生しました。
テープでは、職場集会の場面などのY君と組合員の話し合いが録音されていますが、組合員の訴えにY君が堂々と自分の主張をしていることがはっきりと聞き取れ、ときにはお互いに笑い合うなどの場面が明らかになりました。
また違う場面では、周囲の音(電車の音、駅ホームのアナウンス、ドアの開閉音など)は、鮮明に再生できましたが、肝心の話し合いの状況は、非常に小さく聞き取りづらいもので、傍聴席からも「これは脅迫などではない」とささやかれていました。
また、これまで警察が行った録音テープの反訳書では「お前が恨んでも一緒なんだよ」「責任取れよ」「ずっと最後まで続ける」とされていましたが、実際にはそれぞれ「お前が選んだ道なんだよ」「(電車が)遅れているよ」「(電車が)4分半も遅れているんだ」と発言していたことを明確にすることもできました。
まさに、Y君や検察側が主張するような「つるし上げ・脅迫」などは一切なく、Y君と接した組合員は、Y君の反省を促すことを目的に、冷静に訴えかけを行ったという事実が証明されました。

最終段階に入った公判に全力で頑張ります!

 裁判長の交代がなければ、今年中に第一審判決が出される予定でした。しかし、今回の裁判長の交代により、最低でも「公判手続きの更新」を行った期日分だけ公判回数は伸びてしまうことになります。
「えん罪・JR浦和電車区事件」発生から、はや3年が経過し、7名も被告人としての年明けを4回迎えるという厳しい状況にあります。
しかし、7名の完全無罪へ向けた取り組みを慎重に進めなければなりません。7名の第一審判決を書くであろう小池新裁判長に対して、これまでの裁判状況をしっかりとつかんでもらわなくてはなりません。
これまでも皆さんにお知らせしてきたように、「強要罪」など存在しなかった状況を客観事実から証明してきています。まさに、「強要罪」とは、公安警察・検察官によって「仕立て上げられたもの」であることを白日の下にさらしてきたのです。
裁判所に対しても、公正・公平な審理を行うように強く求めるとともに、皆さんとともに裁判の進行状況をしっかりと見つめていきます。

 平和・人権・民主主義を守るため、7名の完全無罪をさらに確実なものにするために、私たちはさらに頑張ります。

これまで以上のみなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

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