反弾圧のたたかい

第41回公判報告
齊藤さん弁護側主質問・検察側反対質問

 12月16日「えん罪・JR浦和電車区事件」第41回公判が行われ、齊藤さんに対する弁護側質問と検察側反対質問が行われました。
 弁護側からは、前回に引き続き、取調べの中の公安警察による異常な実態を明らかにし、供述調書は公安警察の「イヤガラセ・脅迫」によって作成させられたものであることをさらに明確にしてきました。

「イヤガラセ・脅し」の取調べ、調書のねつ造も行う実態!!
「つくられた供述調書」と強く訴える!

弁護側主質問の要旨は次のとおりです。

供述調書の訂正さえ否定する公安警察官!

弁護士 → 齊藤さんが反JR東労組という意識を変えたのは何がきっかけか。
齊 藤 → 自分が会社を辞めた経緯について、東労組が原因ではないことが明確になり、自分の逆恨みだったことに気づいたことと、妻が無実であることを信じてくれていることを弁護士から聞かされ、供述をあらためようと思った。
弁護士 → これまでの意識が変わり、取調官の言うとおりでは事実に反していることから、供述調書の訂正を依頼したのか。
齊 藤 → 「これまでの調書は記憶と違いますので、訂正して下さい」と頼んだ。
弁護士 → 警察官はなんと言ったか。
齊 藤 → 「訂正などできない」「普通は訂正なんかしない」と全く受け入れなかった。
弁護士 → その後、どのようなやり取りがあったのか。
齊 藤 → 私の「訂正して下さい」という申し出と、警察官の「訂正などできない」というやり取りを11月4日の午後から11月6日の夜まで繰り返していた。6日の夜になり、「訂正してやる」となったが、言葉じりの訂正だけにとどまり、正確なものにはならなかった。

 取調べを行った警察官は、供述調書の訂正さえ認めようとせず、さらには、齊藤さんが作成した「現場見取り図」の訂正を申し出ても「ここは認められない。譲れない」と拒否していた状況が明らかになりました。

公安警察による「イヤガラセ」の実態を明らかに!

弁護士 → 11月7日から「事件」について話をしないようになると、取調官の態度が変わり、「イヤガラセ」があったようだが、具体的にはどのようなことだったのか。
齊 藤 → これまでの取調官が警部補から警部に代わり、「桜の咲く頃まで頑張るのか」といったり、耳元で大きな声で「齊藤!、齊藤!、齊藤!」と何度も怒鳴られ、気が狂いそうになった。
弁護士 → その他には何かあったか。
齊 藤 → これまで通っていた専門学校に「お前が逮捕されたことを言いに行くぞ」と脅したり、妻を尾行しているようなことを言ってきたので、妻の会社に行くなどのイヤガラセがあるのかと、本当に心配になった。

 また、警察官が「学校に逮捕のことを言いに行く」と言ったことを弁護士に相談したところ、「お前、(俺が)学校に行くと言うことを弁護士に言っただろう!ペラペラしゃべりすぎなんだよ!」などと怒鳴っていたことなども明らかにしました。
さらには、公安警察官は取調室において目の前の机をどかし、齊藤さんの足下にあぐらをかき、顔を見上げ、「目を合わせないようにしているなぁ」との威嚇もあったと怒りを込めて、しかし冷静に訴えました。
まさに、取調べは、公安警察ストーリーを仕立て上げるためだけのものだったのです。

「供述調書のねつ造」さえ行う公安警察官!

弁護士 → 齊藤さんが作成した調書の内容自体に問題はあったのか。
齊 藤 → あった。調書を読み返し、確認しているときにも「消灯時間になるから早くしろ」といわれたり、「一枚30秒くらいで読むのが普通だ」などといわれ、大急ぎで読んだので、読み落としや誤解もあった。
弁護士 → その他には、具体的にはどのようなものがあるか。
齊 藤 → (証拠番号=)乙43号証では、私が読み直しをした時と最後に署名・指印(捺印)した時には「警察官の『訂正印』」はなかった。『訂正印』を押すという説明もなかったが、現在、提出されている調書には『訂正印』が押してある。

 これまでの齊藤さんの弁護側主質問によって、「黙秘権の告知」さえすることなく取調べが開始されたことや、公安警察ストーリーを補完させる供述をつくりあげるため、脅し・強要による誘導、調書の「ねつ造」など、でたらめな取調べの状況が明らかになりました。
さらには、自分の供述によって作成された調書を確認する際にも、時間さえ与えず、急がせて署名・指印(捺印)させた状況も明らかになりました。
公安警察はこれまではストーリーどおりの調書であったものが、齊藤さんの意志によって真実へと覆されることに恐れをなし、暴挙を繰り返したのです。まさに、取調室の中は、人権や法律さえ届かない無法地帯だったことが具体的に述べられました。
齊藤さんの訴えを聞き、公安警察による取調べは不当極まりないものであり、供述調書(当時)の信用性は薄く、まさに「公安警察によってつくられた調書であった」ということが鮮明になりました。

 弁護側主質問の最後に齊藤さんの胸中を裁判官に訴えました。

「真実を見て公正な審理を!」と強く訴える!

  1. 安井裁判長が東京高裁にいた当時に、私たちに対する地裁の保釈決定を取り消した判決を出す際に見た「非公開の資料」などに惑わされることなく、公正な審理をお願いする。
  2. 事実に反する供述の「強要」によって作成された供述調書であり、当時の心理状態をしっかりと見てほしい。
  3. 公安警察による取調べは、イヤガラセ・脅し、人格さえ否定するような言動が繰り返されるなど異常なものだったことをつかんでほしい。

 続いて行われた検察側反対質問では、齊藤さんがJR東労組へ就職(組合書記として)したことについて、その経緯・時期・理由など事細かに質問を繰り返していました。つまり、逮捕された当時の齊藤さんは反JR東労組という感情があり、また、公安警察による「脅し・強要」の取調べの中で、事実に反する供述調書を作成しましたが、検察側は齊藤さんがJR東労組の書記として採用されたので「やむを得ず供述を覆せざるを得なかった」と主張しているにすぎません。
しかし、齊藤さんは当時の心理状態や、人権を無視し、やくざまがいの言動を繰り返す取調べの内実を再度訴えたことにより、検察側の思惑は頓挫しました。

JR東労組との雇用関係があるため、当時の供述を変えたと立証しようとする検察官!

 齊藤さんは、すでにJR東日本を退職しており、専門学校へ通学していましたが、今回の仕立て上げられた「えん罪事件」によって通学もままならなくなるために、JR東労組の勧めもあり、JR東労組の書記(団体職員)として就職しました。
検察官は、これに関する経緯や、理由、時期などについて執拗かつ詳細に質問を繰り返していました。特に、採用の理由について「JR東労組側から説明されたか」「されなかったのならば自分から何故聞かなかったのか」と執拗なものでした。
このことは、これまで齊藤さんが述べてきた、「逮捕当初は警察官の言うとおりの調書を作成したが、心境が変わり事実に基づいたものへ訂正するよう依頼した」ということが述べられましたが、検察官はこのことを捉え、「心境が変わったのではなく、JR東労組との雇用関係があるために供述を変えた」と主張しているにしか過ぎません。
その後も、当時押収した「手帳の記述」について一つ一つ確認し、分会の取り組みすべてに齊藤さんが参加したように主張するなど、異常なものでした。

 齊藤さんが、これまで述べてきた取調べの実態の異常さを目の当たりにし、違法性は明確であり、検察側の質問には迫力もなく、焦点が絞れていない状況のまま、一回目の反対質問は終了しました。
今後も、検察側反対質問が行われますが、検察側の意図を具体的に事実にもとづいて崩していきます。

これまで以上のみなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

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