反弾圧のたたかい

第29回公判報告

裁判官の交代に対する「公判手続の更新」を行いました!

 2月16日10時より、東京地方裁判所において第29回公判が行われました。今回の公判は、左陪席(裁判長の左側にいる裁判官)の鈴木裁判官の交代に伴う、「公判手続の更新」を行いました。

 午前10時の開廷から裁判所側による要旨の告知が行われ、裁判長から被害者とされるY君の証言について要約を述べ、右陪席・小池裁判官からは、弁護側証人であるI氏の証言の要約を述べました。そして、高原裁判官より、補充裁判官として参加する直前の上原君に対して行われた「弁護側被告人質問」の要旨を告知しました。
続いて、午後の審理にはいり、被告人7名が意見を陳述しました。また、弁護側もこれまでの法廷で明らかになったえん罪性を含めて訴え、かつ、Y君証言の信用性が低いことを事実を持って明らかにしてきました。
特に、7名の意見陳述では、無罪をあらためて訴え、この「事件」が公安警察による仕立て上げられた事件であることを強く訴えてきました。

「無罪!」であることをあらためて力強く訴える!

7名の意見陳述の要旨は次のとおりです。

<梁次さん>

 私は強要・脅迫、共謀もしていない。一日も早く濡れ衣を晴らし、今後、正々堂々と生きていくために公正な裁判をお願いしたい。(被害者とされる)Y君との面識は3回だけであり、つるし上げなど全くなかった。自己中心的で、嘘、偽りの常習者のY君を利用した警察・検察の弾圧の構図は、世の中には通用しないことは明らかである。組合運動とは、組合員と家族の利益を守り、公平・平等・平和な社会を目指して、団結と連帯を強めていくことである。
この間の公判で明らかになったように、公安警察は、JR総連・JR東労組を壊す目的でこの「事件」をつくりあげた。
私たちは無罪であること、えん罪であること、仕立て上げられた事件であることを人間の良心にかけて強く訴える。

<山田さん>

 第1回公判から一貫して無罪を主張してきている。
2002年11月1日の突然の逮捕から、不当な取り調べと344日間の不当な勾留での悔しさ、つらさを絶対に忘れない。
Y君は人と接することが苦手なタイプだったので話しかけても会話は長続きしなかった。職場ではあんなにおとなしかった彼が、胸を張って入廷し、検察官の質問にすらすら答える姿に驚いた。まるで洗脳されているようだった。
今後、被告人質問の中で検察官の立証がいかに欺瞞の満ちているかを真実を証言することで証明したい。

<上原さん>

 私たちは、無罪というより無実である。一般の事件では被害届が出されてから捜査が始まるが、今回の「事件」は、被害届が出される2ヶ月前から捜査を始めていたことや(被害届を出す)1ヶ月前に公安二課の刑事がY君宅を訪問していた事実などからもまさしく仕立て上げられたものだといえる。Y君の証言を聞き、真実とかけ離れていることは、落ち着きなく膝の上で手を動かす姿からも窺えた。Y君の直接質問をして人間の良心に訴えたが、裏切られてしまった。Y君には、仲間の大切さやありがたさなどを訴えてきたが、理解を得ることはできず、私たちを犯罪者と仕立て上げる片棒を担いでしまった。新裁判官を含め、事実をしっかりと見て公正・公平な審理をお願いする。

<齊藤さん>

 初公判から関わってきた裁判官が今回でいなくなる事態となった。検察側証人の証言態度・雰囲気などの重要なことは速記録の活字では表現できず、これで公正な裁判ができるかが不安である。JR東労組はこれまで組合員と家族の利益のために運動をしてきた。国鉄改革でも大変な苦労をしてきた。
ILO勧告に対して日本政府は誠意ある行動を取っていない。
今後の被告人質問で、真実を述べ、無罪を訴えていく。

<小黒さん>

 Y君の証言は公判調書に正確に残っているが、声の強弱や、間があいたこと、証言態度は伝わらない。証言はウソをついているようだった。検察側冒頭陳述書にもY君の証言でも事実とは違う点が多くある。
344日間の勾留を支えてくれたのは、支援の輪であった。
裁判官の皆さんには真実を見て頂き、無罪判決を出してほしい。

<八ツ田さん>

 2002年11月1日に任意の捜査もない突然の逮捕であった。家宅捜索も65箇所におよび、1096点も押収するなど不自然である。
不当逮捕によって刑事休職になり、職場にも自由に入れない状況である。 逮捕からの2年3ヶ月で家族も不安な生活を余儀なくされている。多くの仲間が家族を含めてフォローしてくれたおかげで耐えてきた。一人ひとりにやさしいJR東労組はY君を脱退・退職させるはずはない。自分もY君を信じて接してきた。彼の最初の決意を聞いてうれしかったので「これから一緒に頑張ろう」と声をかけたことを憶えている。

<大澗さん>

 突然逮捕された日は、会社の35年勤続の記念品や褒賞金を受けるなど特別な日であった。取り調べは、窓のない密室で捜査官・検察官からの威迫を受け、黙秘権を否定する言動もあり、精神的・肉体的な苦痛を受けた。
344日間の勾留生活は、仲間たちと遮断された孤独な疎外感を感じてきた。
無力な労働者を守るために労働組合は存在し、憲法や労働法によって保護されている。労働組合が団結力を保持するために説得活動をしたに過ぎない。「つるし上げ」や脅迫などしていない。Y君は証言したが、その会議へは参加資格もなく参加していない。Y君の証言は主観によるものであり、事実とは違う。公正無私の立場で、勇気ある判決を要請する。

  このように7名全員であらためて無罪を訴えるとともに、この間の公判の中で明らかになった検察側立証の矛盾などについて新裁判官を中心に訴えてきました。

新裁判所体制に「公正・公平な裁判を求める」
ご支援のご協力をお願いします!

 被告人の意見陳述にもあったように、裁判官の交代は裁判長を含め、第1回から28回までで4人交代しています。一般的な人事異動とはいえ、検察側証人の主・反対尋問を直接目の前で見ているのと、できあがった公判調書の文字を読むだけとは、証人の態度や声の強弱、表情などがつかめないために正確な判断は難しくなります。
このような状況の中で、裁判官に対して当たり前ではあるものの「公正・公平な裁判」を目指して、検察側の意見による予断や偏見を持つことなく、真実を見抜いてほしいと願うものです。

 「えん罪JR浦和電車区事件を支援する会」を支えて頂く賛同者の方もおかげさまで2万名を超え、支援の輪は確実に大きくなっています。
「平和・人権・民主主義を守る」ために、JR東労組はこれからも頑張っていきます。

これからもご支援・連帯をよろしくお願いいたします。

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