反弾圧のたたかい

第28回公判報告

 2005年1月21日午前10時より、「JR浦和電車区事件」第28回公判が東京地方裁判所104号法廷で行われました。
 今回も前回と引き続き、梁次さんへの検察側による「被告人質問」でした。
 検察側質問の主旨は、これまでの被告人に対する質問と同じく、「地本ー分会という指示・命令系統が存在し、上部機関の指示によってY君を脱退・退職させた」と描こうとした質問の繰り返しでした。

 しかし、梁次さんは真実に基づいて供述し、「機関としての指示など存在しなかった」「分会の取り組みに対して具体的な指示はしていなかった」「冷静に慎重に対応し、本質であるグリーンユニオンからの組織介入の現実をつかむことを優先すべき」とアドバイスを行ったことなどを述べ、検察側ストーリーは真実とかけ離れていることをさらに明らかにしました。

 担当検察官は、これまでの質問と同じようにストーリーが崩されると感情的に声を荒げるなど、冷静さを失う姿も度々見られ、裁判長からの指摘や傍聴席からも失笑を買いました。

質問の特徴点(要約)は、次のとおりです。

Y君が「組合を脱退する」と発言し、謝罪したことについて

検察官 → 脱退ということは組合にとって謝罪すべきことなのか。
梁 次 → 「組合を辞める。撤回する」と発言したことに対して、一定程度申し訳ないというのが当然だと思う。
検察官 → どういう主旨で申し訳ないのか。
梁 次 → 常識の範疇である。いったん抜けようとして、それを変えるのだから、組合だろうとなかろうと、社会一般の常識だと思う。
検察官 → Yが抜けようとしたのは組合が嫌で脱退しようとしたのか。
梁 次 → 組合を脱退すると自分でいったのだから、抜けるということだと思う。謝罪したのは、脱退という非を認めたのだと思う。

職場集会は「組合員に喝を入れる場!?」と主張する検察官の異常な見識

検察官 → Yの問題点を全組合員に知らせる必要があるのか。
梁 次 → 私たちの組合は全員参加の組合であり、事実は全員に伝え、グリーンユニオンやJR連合からの組織介入に対して、その魔の手に引っかからないように、団結を強めるためである。
検察官 → Yに同情的な組合員が多いから、職場集会で組合員に「喝」を入れるためではないのか。(傍聴席も含め失笑)
梁 次 → 全くそういうことはない。

具体性のない繰り返しの質問をし、裁判長に注意される検察官

検察官 → JR東労組の組合員でありながら、グリーンユニオンの秋山がつくった嘘を東労組の組合員に話した行為は組合員とは認められないという感想は持ったか。
梁 次 → 組合員を裏切ったことはそうだが。
検察官 → 東労組組合員でありながらグリーンユニオンの秋山がつくった嘘をつくYは受け入れることはできないと思ったのか。
梁 次 → そんなことはない。事実を確認しなければならないと思った。その行為をしても組合員として受け入れられないとはならない。
検察官 → どういう場合だと受け入れられて、どういう場合だと受け入れられないのか。
梁 次 → 反省して、謝罪するまで説得する。
検察官 → 反省して謝罪すれば受け入れるし、反省しなければ受け入れないということか。
梁 次 → どんな場合でも説得する。追いやるということはしない。
検察官 → Yがグリーンユニオンの秋山がつくった嘘を東労組の組合員に話したという裏切り行為は制裁の対象になると考えたか。
梁 次 → まず、事実を確認しなければと思った。
検察官 → 事実を確かめれば制裁の対象になるのか。
弁護士 → 異議あり。常識の範囲を超えている質問の繰り返しであり、裁判を遅延させるものだ。
裁判官 → 異議は棄却する。しかし、繰り返しはいかがなものかと感じる。質問を変えるように。

 以上のようなやり取りの後、他の被告人のYと関係する言動について梁次さんへの質問が行われました。その後、弁護側の最終質問、裁判官による質問があり、終了しました。

 検察側は、これまでと同じ主旨で、「分会が地本の指示・命令によってYを脱退・退職させたこと」を立証しようとしていました。しかし、事実はそのようなことはなく、梁次さんは、逆にY君の嘘によって感情的になりつつあった分会組合員を「冷静に、慎重に対応しよう」とアドバイスを行ったことが明らかになりました。
また、検察官は、「梁次さんは以前からY君の事を知っていて、対応を協議していた」ように描こうともしていましたが、実際に、梁次さんがY君と初めて顔を合わせたのは2001年1月5日であり、その後、会話したことを含め、合計3回しか合っていないことも明らかになりました。このような真実に基づいた梁次さんの証言によって、上部機関からの指示・命令、他の被告人との共謀などが存在しないことが明らかになりました。

 検察官は、細かな状況について梁次さんに質問を繰り返していましたが、直接関係していないことから把握していないと返答しましたが、検察官は、「地本副委員長だから当然知っていますよね」と考えを押しつけようとしていました。地本役員は、大宮地本、76分会すべての動きを詳細にわたり把握しているのが当然としていますが、現実はそのようなことはないのです。
梁次さんの冷静な対応と的確な返答で、検察側の主張は崩れました。

 次回の公判は、これまで第1回から第28回までの公判を直接目の前で見ていた左陪席・鈴木裁判官が今春転勤することが予定されているために、新しい高原裁判官と交代することが決定しました。
これまでの公判中、鈴木裁判官の交代で裁判長を含めて4名の裁判官が交代しました。
検察側証人の証言・態度を目の前で見ていた裁判官の心証と、できあがった「公判調書」を見て判断するのでは、その心証に大きな違いがあることが予想されます。一般的な転勤も絡むとはいえ、裁判の直接主義という概念からは大きくはずれていくことにもなります。

 これまで以上の皆さんからのご支援によって、予断を持つことなく、公平・公正な裁判が行われるように、ご支援の輪の拡大をお願いいたします。

これからもご支援をよろしくお願いいたします。

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