2011年10月16日~19日、第21回国際鉄道安全会議がオーストラリア・メルボルンで開催されました。JR東労組からは「安全確立に向けた職場での指導担当の重要性」と「東日本大震災の被災体験と鉄道を破壊した福島第一原子力発電所」の2つの提言を発表しました。
「安全確立に向けた職場での指導担当の重要性」では、東京電車区分会の鈴木運転士が指導担当としての実体験に踏まえ、安全を確立するためには線区の特情に精通すると共に運転士の立場を理解した指導担当が必要であることを参加者に訴えました。
参加者からは「非常に興味深い問題提起であり管理者と指導員の調和の必要性が理解できた」「JR東日本とJR西日本の安全哲学の違いを理解できた」「会社に対しても正直に思ったことを言える労使関係はすばらしい」とJR東労組とJR東日本でつくりあげてきた安全哲学を評価する声が寄せられました。
災害時に乗客を守れるのは現場の判断だと訴えた
「東日本大震災の被災体験と鉄道を破壊した福島第一原子力発電所」では、原ノ町運輸区分会の原田運転士が地震と津波の被害に遭いながらも卓越した経験と判断でお客様を避難させ、自らも跨線橋に駆け上がり難を逃れた体験を報告し、多くの参加者に感動と驚きを与えました。原田運転士はマニュアルの想定を超え無線機がつながらない中で、如何に担当線区を理解し瞬時の現地判断が必要であるかを訴えました。参加者からは発表した勇気を称えられ、安全は自らの判断と行動でしか守れない具体例として絶賛されました。
また、原発事故によってJR東日本の鉄道ネットワークが寸断され、鉄路と仕事は一瞬にして奪われた現状について本部柳業務部長が問題提起しました。特に、原発事故によって組合員は避難を余儀なくされ家族と離れ離れになって生活している現実や原発事故の収束が見えない中で、命を全ての価値基軸に脱原発、エネルギー政策の変更を訴え、多くの参加者から素晴らしい発表であったと高く評価されました。
会議後、指導担当の重要性についてオーストラリア・ニュージーランドの組合や政府の安全機関からも賛同が寄せられ、他国でも経験が引き継がれない現実や訓練も机上論で若い社員が学べない現実が出されました。機械の進化に伴い安全システムは向上していますが、機械と人間の調和や技術継承が世界各国の大きな課題であるとの共通認識を深めることができました。
東日本大震災は日本に甚大な被害をもたらしましたが、世界各国からは国際鉄道安全会議を牽引してきJR東労組・JR東日本に対して多くの激励が寄せられ、これまでの連帯の強さと国際鉄道安全会議の意義を実感することができました。安全確立に向け更なる職場からの議論を巻き起こし、鉄道の安全確立を行いましょう!