2009年1月26~27日、JR東労組とJR総連、国際労働者交流センター(ICLS)の代表はタイ・バンコクを訪問しました。昨年夏から冬、労働者、市民でつくる「民主主義にための市民同盟(People’ s Alliance for Democracy, PAD)」は、新憲法を改悪し前首相タクシンの復権を策すサマック政権とソムチャイ政権に対して193日間の闘いの末、勝利しました。
12月2日、タイ憲法裁判所は、2007年12月のタイ下院選挙での選挙違反をめぐり、国民の力等など連立与党3党の関与があったと認め3党に解散、ソムチャイ首相ら党指導部の被選挙権を5年間剥奪しました。その結果、野党民主党が政権奪取、アビシット政権が誕生しました。
不正と腐敗を認めない、格差を広げる新自由主義政策に反対、タクシン元首相の復権を許さないことを目標に今年のはじめからPADは活動を始めました。
8月26日、PADは全国に「サマック政権退陣」を呼びかけ、それに応えて多くの労働者・市民が首都バンコクに集まり、首相府、国会への道路を封鎖し、首相府のなかに入り抗議の闘いを続けました。国鉄労働者はストライキにはいりました。
政府はPDA指導者9人に死刑に相当する「国家反逆罪、陰謀罪、解散命令拒否罪、扇動罪」などで告訴する一方、警察や特殊部隊を使って弾圧しました。10月7日の警察による激しい弾圧は催涙弾だけではなく爆弾も使われPADから死者、重軽傷者を多く出しました。「血の10月(Bloody October)」と呼ばれています。今回の闘争で10人の死者と760人あまりの負傷者が出ました。この弾圧についても警察を追及していくそうです
PAD支持者は約5千万人、抗議闘争に集まった人々のうち女性が75%、このことが特徴です。また多くの食料の差し入れカンパが集まりました。労働者、市民、農民、学者、マスコミ、ビジネス界など幅広い人々に支持され、不正、汚職のタクシン政治に反対するという共通目標が団結を生み、異なった分野の人々が共同戦線をつくって闘いました。
PADの5人の指導者の1人、ソムサック氏は、「不正も腐敗もない新しい政治を求めてこれからも闘っていく。今のアビシット政権も、(1)タクシンが奪った国民の財産を国民に返すこと、(2)タクシン元首相を法の決定に基づいて罰すること、(3)国有企業の民営化はしないことなど、その政策の実行を見守っていく」と語りました。今は勝利への過渡、PADは労働者・市民に支えられて最後まで闘っていくと力強く表明しました。