2010年1月15日、本社は吉田復職を発令した同日に「設備・電気部門におけるメンテナンス体制の改善」を提案しました。しかし、この間の本部・本社での交渉での会社回答では、施策実施後の具体的な業務内容が明確でなく、提案内容からは、会社が本気で技術継承を考えていると感じることはできませんでした。
大宮地本は9月22日支社より「設備・電気部門におけるメンテナンス体制の改善」についての提案を受け、直ちに申6号にて解明要求を提出し、「安全・健康・ゆとり・働きがい」のある職場を実現するため会社と議論を行なっています。
会社は交渉の中で、今施策の目的を①今後急激な世代交代が進む中で保守作業を経験してきた社員が減ることによる「人材育成の強化」②必要な技術力を確立するための「技術力の維持・向上」③「パートナー会社との相互強化・メンテナンスレベル向上」など3点を示し、安全と技術継承を7年もしくは7年より短く行える人材育成計画を実現するとしています。
会社案で人材育成はできない
会社が安全と技術継承が身に付く人材育成を7年で行うとしている根拠は、契約業務の簡素化や競合作業把握システムの本実施により、業務量が軽減され現場に行く機会や時間が生み出せることと、その生み出した時間で工事立合の拡充と検査業務や作業の一部直轄化することにより、実現できるとしています。また、本来業務よりもインフォーマル活動や課題付与などの本来業務以外の活動が優先されている状況についても「業務量の軽減による時間でインフォーマル活動は行わない」と明言しています。
しかし、保線関係では、エリア別軌道管理を行なう目的を「庭先意識を持ち線区を保守することにより技術の継承につながる」としていますが夜間はエリアに関係なく全ての保守区の工事立会いを行うなど、考え方が矛盾しています。また、安全担当者、教育担当者に一般社員を専属配置することにより、科長、支社と連携し、若手のフォローや訓練を現場のOJTとして確立するとしていますが、「業務量は膨大となり本当にそこまで業務を熟知している社員が今後育てられるのか」「一人で大丈夫なのか?会社のいう体制で大丈夫なのか?」などの疑問も出されています。
技術継承は職場での生きた教育・実践が必要
大宮地本青年部は、昨年の本部政策フォーラムで、職場の青年部員と議論を深め「設備21」を検証し「俺たちの職場は俺たちで創りだそう!」をスローガンに「新入社員の育成期間は10年間必要である」と10年育成プランの提言を創り出しました。そのなかでも、「2~3年周期で若手が転勤している状況では技術力が身につかず業務に対して不安がある」という声を契機に議論を深めてきました。そして、創り出した提言の「育成期間10年」の根拠は、現場作業を経験し線区の状況を熟知したベテランの先輩たちが次々退職していくなかで、先輩から学ぶことができる時間は少ないという危機感です。
また、黒磯感電死亡事故以降の相次ぐ協力会社社員の死亡事故や命を脅かす事象について原因究明委員会などで議論した結果、業務優先体質や現場を熟知していないことが明らかになり、安全・技術継承が担保された工務職場をつくるためには、育成期間10年が必要だという意見が出されたからです。
また、設備のプロを育てるためには現場で業務を担当しながらのOJTでは検査の周期や工事、設計など長年くり返して経験しなければ身に付かないことが多く、設備や検査のノウハウを習得するだけでは不十分です。
よって入社配属から、3~5年を現場育成期間としてOJTを強化し、4年~10年で現場のプロを育成します。会社の育成プランは集合研修がメインですが、職場や現場には教科書や机上では学べない内容が多くあります。現場での教育の充実のためにも、要員増が必要です。同時に教育を受ける若手の姿勢も重要です。職場では、業務内容がパソコンによる個人業務が中心となっており、パソコン業務ができればあたかも一人前という風土が生まれています。OJTにより先輩・後輩のコミュニケーションがはかられ、それが職場の原点・力となります。また、支社・指令を経験させる期間は現場感覚を失わないために2年として元職場に戻し、培った企画・立案能力や指令経験を十分に発揮する体制とすべきです。
青年部員の力を結集し未来を切り拓こう
私たちが提起してきた「10年育成プラン」は基本ベースとしての工務関係社員のライフサイクルになると思いますが、これを基に各系統のライフサイクルを「設備21見直し」交渉で確立しなければなりません。工務で働く青年部員が「俺たちの職場は俺たちで創る」という気持ちで施策を真剣に考えていかなければなりません。
今後、解明交渉から要求交渉となりますが、要求を実現し安全で技術継承が行え、働きがいある職場を創り出すために青年部員が起ち上がりましょう。そして、我々の未来のために最後までたたかい抜きましょう!