安全への挑戦

職場からの提言によりバス車両火災対策を確認!!
JR東労組バス関東本部

□概要

全焼したメガライナー号
全焼したメガライナー号

  2009年3月16日、午前4時20分頃、東名高速道路上り線の牧之原SAでJRバス関東「青春メガドリーム2号(全長15メートルバス)大阪駅発東京駅行」が全焼しました。お客様77名は幸いにも全員無事に降車いただくことができました。 安全輸送が最大の使命である私たちにとって、この様な事は絶対にあってはなりません。JR東労組バス組合員は、お客様とそこに働く私たちのためにも安全で働きやすい日本一のバス職場を目指し、職場からの挑戦に起ち上がりました。

□当該乗務員の的確な判断

焼け焦げたエンジンルーム
焼け焦げたエンジンルーム

[4時10分頃]
・東名高速線上り牧之原SA手前を走行中、右ミラー目視により後方から白煙が上がっているのを確認。
・牧之原SAに緊急停車。
・直ちにバス後方へ安全確認に向かう。マフラーから発火しているのを発見。
・車内に戻り室内灯を点灯、マイク放送で「車両火災なので直ぐに降りてください!」と放送。中扉を開けて車内に向かって大声で何度も避難を訴える。

[4時20分頃]
・お客様の避難は完了し、車内に戻り荷物を降ろす。
・お客様をSAレストハウスへ誘導。安全を確認しパーキングに停車し休息中のトラック運転士を起こして避難するよう要請。その後バスは全焼。

□お客様からの手紙

・炎上した時、私は寝ていましたが運転手さんの「早く外へ出てください、車両火災です」という叫び声で起こされて、とりあえず外に出ました。

・バスは全焼してしまい大切な荷物を忘れて来たため絶望した気持ちでした。

・私たち乗客を避難させた後、必死に荷物を取り出していた運転手さんに感謝しきれません。

・あれだけ必死になって出来る限りのことをやってくれた運転士さんを私は責めることはできません。私たちの命を助けてもらって本当にありがとう。

 この手紙に当該乗務員はもちろんのこと組合員は涙を流しました。この手紙に事故の凄まじさと責任感あふれる乗務員の行動がわかると思います。

□安全のたたかいは職場から

 JR東労組バス関東本部は事故原因を究明するために、職場の原因究明委員会と当該乗務員の証言をもとに議論を積み重ねてきました。国産メーカーバスでも火災事故は起こっています。バスも機械である以上、故障することを前提に考え安全対策をとらなくてはなりません。

□職場組合員の意見


 ・「火災が発生しても運転席周りの各種機械は異常はなかった。異常を知らせ る警報があれば・・」

・「乗務員の機敏な対応があったので乗員・乗客に怪我人がなかったのでは」

・「2008年5月西日本JRバスで発生した同型車種の火災事故の時に原因 が特定出来ないなかで、運行し続けてきたことが最大の原因ではないか」

・「国鉄バス時代に搭載していた、エンジンルーム内火災消火装置を搭載する べきではないのか・・・」 等の様々な組合員の声を、バス関東本部は今後の安全対策提言へと繋げていきました。私たちの仕事はお客様を安全に行き先地までお届けすることです。そのためにも「安全なくして労働なし」という企業風土を労働組合から創りだしていくことを全体で確認しました。

□全組合員のたたかいをつうじて

 私たちは、こうした組合員の声を基礎に粘り強く会社と交渉を展開してきました。その結果、残り1台のメガライナー号は運行を停止しています。また同型のネオプラン車については使用しないことを確認しました。 そしてバス関東本部は、2010年3月に原因究明委員会の議論結果をもとに対策を打ち出し、会社に対して「バス車両火災事故撲滅に向けた申し入れ」を行いました。申し入れ内容は以下のとおりです。

1.メガライナー火災事故の教訓と今後の対策を明らかにすること。

2.全ての車両にエンジンルーム消火装置を取り付けること。

を申し入れ交渉を積み重ねてきた結果・・・

今後の対策として、この事故を教訓とした車両整備・点検の充実・異常時マニュアル見直しと社員教育の徹底。車両構造および機器類操作方法の社員教育の徹底を確認しました。 そして、エンジンルーム火災消火装置(スウェーデン製「高圧ウォーターミスト車両消火装置」)を東京~佐久間の高速バスに試行搭載し、今後ダブルデッカー車から順次搭載を進めていくことを確認しました。

JR東労組バス組合員はメガライナー号火災事故を教訓に多くのことを学び、当該乗務員と共に安全問題を真剣に議論し多くの成果を得ることができました。今後も「お客様と組合員の命をまもる」ために、バス関東全車両へ車両火災消火装置搭載に向けて引き続き議論していきます。 そしてJR東労組運動強化を通じた「日本一安全で働きやすいバス会社」を 全組合員の総団結で実現していきます。

エンジンルーム火災消火装置
エンジンルーム火災消火装置
運転席で乗務員に火災発生を知らせる装置
運転席で乗務員に火災発生を知らせる装置
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