2010年1月26日朝、東所沢駅の管理者から、東所沢電車区の管理者に電話連絡が入り、支社主催(2月3日開催)のCS運動研究会で発表する「異常時でのお客さま救済対応」での「緊締幕とクイックステップラダー(避難用梯子)取り付け状態の写真を撮るため、駅の管理者と駅社員1名が入区電車に便乗したい」と要請されました。要請を受けた電車区の管理者は、職場の関係箇所に連絡することなく独自の判断で許可しました。
許可を受けた駅の管理者と駅社員1名は入区車両に便乗し、他にもう1人の駅社員が「緊締幕とクイックステップラダー」を業務用の車に積み込み、入区線側で待機していました。
駅の管理者は、入区担当運転士の作業終了を確認した後、同乗してきた駅社員と車で先回りしていた駅社員に指示を出し、ドアコックを勝手に扱い「クイックステップラダー」をドアのレール部分に取り付け、撮影の準備を始めました。それを見た担当運転士は「入区した車両で駅係員がドアを扱って何か作業をしている」と運転当直に報告しました。運転当直は構内本部に確認しましたが「何も聞いていない」と返答を受け、その連絡を聞いていた教育助役が作業を中止させようと現場へ向いました。また、車両移動禁止表示も掲出せずに作業を行っているのを見た検査係も、一緒にいた検修係を通じて構内本部に問い合わせました。そして、現場に駆けつけた教育助役の指示で駅の管理者と駅社員に撮影準備を中止させたという事象が発生しました。中止後に隣接線へ入換車両が進入してきており、一歩間違えば『触車・死亡』事故につながりかねない事象でもあったのです。
いい加減でルール無視
本来、電車区以外の人が構内に立ち入る場合は、電車区の担当者が立会い、必要な保安体制の手続きを行うルールがあるにも関わらず、電車区の管理者の判断のみで許可を出しています。この事象に対して電車区の管理者は「庁舎前の一旦停止標識で下車し庁舎に立ち寄るものと思っていた」などと発言し、いかにいい加減な内容で許可したのかが見て取れます。職場の「安全衛生委員会」で事象の内容を電車区の管理者に確認したところ、その管理者は当事者でありながら事象の内容を正確に把握していない事が明らかになりました。
分会は「真実を掲示等で明らかにし、対策を打ち出すべきである」と求めましたが、電車区の管理者は「運転に支障していない」「掲示等で説明する必要はない」「コミュニケーションのエラー」などと責任を回避する自己保身の回答に終始しました。
分会は「コミュニケーションエラー」という簡単な問題ではなく、一歩間違えば「人命に関わる重大な問題」であると考えました。これまで区長は「コンプライアンスの遵守」や「ルールの遵守」を公言してきましたが、自ら起した事象に「沈黙」では組合員は納得できません。「隠蔽体質」そのものであるとして、職場集会を開催し議論してきました。組合員からも「事故の隠蔽だ!」「事実と違うウソを言っている」「ルールを守っていないのは会社だ!」などの怒りの声が多く出されました。
原因を究明し命を守る
分会は原因究明委員会を開催し、原因はどこにあるのかをハッキリさせるために地本営業部会と連携して「移動禁止表示」の認識について議論しました。営業の仲間からは「車両を扱う際の『移動禁止表示』を掲出する事など知らない」という事が分かり「ルールそのものを知らない」という事も明らかになりました。これらを踏まえて地本と議論を重ね「安全を無視した取り扱いの是正を求める」申し入れを行い、3回の交渉を行いました。当初支社は「コミュニケーションエラーが原因」などと回答しましたが、職場集会で出された意見や電車区の管理者の言動などの現実を突きつけ「社員との信頼関係がない事が背後要因。対策を具体的にやっていく」「社員に全体化して明らかにしていく」との回答を引き出し、支社として現場を指導していく事を確認しました。
今回の事象を通じて「ルール無視」「安全無視」の現場の管理者の姿勢や管理者を擁護する支社の姿勢が明らかになりました。さらに、ルールが徹底されずに不安全作業が行われてしまう風土を作り出しているのは会社であることも明らかになりました。また、構内で多数を占める国労がこの問題に対して会社に抗議したとか、国労内で安全議論をしたという話は一切聞いていません。安全は鉄道業にとって最大の課題です。会社の傲慢な姿勢によって命が奪われるような事態は絶対に起してはなりません。私たちは、原因究明のたたかいを職場から創り出し、鉄道の更なる安全確立のために職場のたたかいを強化し「たしろ かおる」と共に参議院選挙の勝利のために奮闘していきます。