日本では、事故が発生した場合に原因を究明し再発防止を図ることより、警察などの捜査が優先され、責任の所在を明らかにし、当事者や企業の過失を追及する仕組みになっています。日本の事故調査委員会は、省庁の機関として存在しており、警察の捜査権に対抗できる権限は持っていません。そのため、事故当事者や企業が再発防止に向けて真実を語るという風土は醸成されません。
私たちは、この間発生した福知山線事故や羽越線事故を初めとした事故を教訓にして、再発防止に努めていかなければならないと考えて取り組んでいます。しかし、現実は警察や会社の処分が全面に立ちはだかっており、真実が十分に把握出来ないという否定的な側面が存在します。その意味からも、日本における事故調査のあり方をアメリカにある「NTSB」のように、警察の捜査よりも優先的に事故調査が出来る権限や免責ルールの確立が必要であると考えます。
JR東労組は、航空・鉄道事故調査委員会の権限拡大などを通じたより有益な事故防止対策が図られる仕組みづくりの実現に向け、関係箇所への働きかけを行っています。
※NTSB(アメリカ国家運輸安全委員会)
1975年アメリカで政府直属の事故調査機関として発足、ワシントンDCに本部を置き事故原因解明率は99.9997%。アメリカ国内で航空機事故が発生した場合、連邦航空局から要請を受け、調査チームを結成し事故の再発防止のため徹底して原因の調査・解明にあたる。