安全への挑戦

抵抗とヒューマニズムを基底とした 安全へのたたかい

 JR西日本福知山線塚口~尼崎間で快速電車が脱線、転覆しマンションに衝突し、死者107名、重軽傷者549人を出すJR会社発足以来の大惨事となりました。
 あらためて事故の犠牲になられ亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ケガをされた方々にお見舞いを申し上げます。一日も早く快復されることをお祈りいたします。

 起きてはならない事故が再び起きてしまいました。今回の事故は鉄道の安全性と信頼性を根底から覆す最悪の事態です。JR東労組は、同じ鉄道で働く労働者として、多くの乗客と運転士の尊い命を奪った事故の痛苦な現実を出発点として、二度とこのような事故を繰り返さないために鉄道の安全確立に向けて邁進していきます。

人間性をも否定した「日勤教育」=処罰が運転士を精神的に追いつめた!

 今回のJR西日本で起きた福知山線事故は、制限速度を大幅に上回るスピードでカーブに進入したことが原因といわれています。運転士はなぜそのようなスピードでカーブに進入したのでしょうか。様々な要因が考えられると思いますが、その中でも大きな要因として考えられることは、事故直後、多くのマスコミで言われていた「日勤教育」という処罰が、相当大きな精神的動揺を運転士に与えていたということです。

 日勤教育とは、ミスを犯した社員に対して、業務をさせずに「反省文」「規定の書き写し」「草むしり」などを他の社員にもわかるような場所で行わせるものです。事故を起こした運転士は、過去にも軽微なミスで「日勤教育」を受けており、今回の事故発生前に起こした「オーバーラン」によって、想像もつかないプレッシャーを抱きながら運転を継続しなければならなかったのだと考えられます。

現場第一線で働く組合員の声に耳を傾けた安全議論を!

 JR東日本でもこれまでいくつかの重大事故は発生しました。
事故を起こした責任は当然にもその当事者にあります。しかし、事故を起こそうとして起こす人はいません。処罰だけしても、なぜその事故が起こしてしまったのか?という事故の芽=背後要因を見つけだし、その解決をしない限り同種事故は繰り返されてしまうのです。
ですから、真の鉄道の安全をつくりだすためには、運転士の人間性を否定し、過酷な労働環境に追い込むことより、運転士から真の背後要因を引き出し、それに対する対策を打ち立てることが会社と組合の責任なのです。

「責任追及から原因究明へ」は絶えざる「職場からの挑戦」で!

 JR西日本とJR東日本の決定的な違いは、ひとつの事故をめぐってJR東労組と会社が正面から向き合い、事故からともに学ぶという謙虚な姿勢と事故原因の徹底した究明の議論をつくりだしてきた点にあります。
「安全」に「絶対」はありません。だからこそ、事故を起こした当事者の責任は責任として受け止め、その上に立って現場第一線で働く組合員の立場に立って失敗から学ぶという姿勢を労使でつくり出してきたのです。それが、「責任追及から原因究明へ」というJR東日本の新しい安全哲学です。
しかし、「責任追及から原因究明へ」という風土が簡単に出来上がったかと言えばそんなことはありません。まして、JR東日本労使の共通認識となるまでには相当な時間と議論の積み重ねがあったのです。
そのたたかいの歴史と「職場からの挑戦」をご紹介していきます。

このページの先頭へ [↑]