労働条件向上

2011 政策フォーラム開催
~職場実態に根ざした提言で活発な議論を展開

つなごうレールを!
全地本の団結を強化し 安全第一の職場風土の確立を!

 11月13・14日、水戸地本の万全な準備のもと、「2011政策フォーラム」が開催されました。フォーラムには13提言が、①大震災からの復興、災害に強い鉄道づくり、②鉄道技術の維持・向上と技術継承、③自ら考え、判断できるプロの育成という3つのセッションに分かれ発表されました。提言は職場の現実を踏まえた、職場の生の声が率直に伝わる内容でした。また、この提言に対し、各セッションで活発に展開された討論では36名が発言、提言内容を豊富化することができました。
現在、会社から職場活動の規制・排除が様々な形でかけられてきています。しかし安全な風通しのいい職場は命令・服従ではつくれません。2011政策フォーラムで出された議論を各職場の隅々まで伝え、ともに議論をつくり出していきましょう。

千葉委員長あいさつ(要旨)
「職場からの挑戦」永遠の課題

あいさつをする千葉中央執行委員長
あいさつをする千葉中央執行委員長

 東日本大震災と原発事故で大きな被害を受けながらも、準備を担ってくれた水戸地本の皆さんに感謝いたします。今フォーラムは、大震災の教訓はもとより「技術継承」と「人材育成」が重要な課題になっていることを指し示す発表となっています活発な討論によって進むべき方向性を導き出していきます。また、原発事故の影響は広範囲に広がり、原ノ町支部組合員は転勤を余儀なくされています。脱原発の声をさらに大きくし、大地震、津波、原発事故の中で安全のために何をすべきか明確にして教訓をつかみ反映させていきます。
反弾圧のたたかいは、各地での街宣行動への結集や最高裁要請行動は190回を数え、大きな盛り上がりと連帯の輪が拡大しています。浦電事件の完全勝利とえん罪事件をなくすために組織の団結を固めてたたかっていきます。また、契約社員の正社員化の課題は、ビラ配布などを行い世の中にも訴え院内懇談会も予定しています。グリーンスタッフの組合への加入を呼びかけると共に粘り強く取り組んでいきます。 「ローカルルールの是正について」という冊子は、この間労使で確認してきた「ローカルルールは労使で創ってきたものであり、是正すべきものは労使で議論して是正する」ということを一切無視して、労使で確認した制度や慣行を一方的に変える内容です。そして、さかんに「仕掛ける」という言葉が使われています。具体的に職場に表れる内容を把握し、不当労働行為や制度や労働協約違反には毅然と対応していきます。
日々、職場で業務が行われている限り、問題が発生するのは当たり前です。だからこそ、労働組合の職場活動が重要なのです。職場を大事にすること無しにこの会社の発展はあり得ません。
「職場からの挑戦」は、永遠に続くテーマとして組織態勢を打ち固め前進しよう。

◆発表機関◆

第1セッション

●盛岡地本 大船渡線営業所分会
「地域復興と職場からのたたかいで鉄道の再生へ」
●仙台地本 新幹線総合車両センター支部 「東日本大震災を受けて」
●運輸車両部会 車掌分科会
「東日本大震災から学ぶ~異常時に的確な判断ができる車掌を目指して~」
●秋田地本 秋田駅分会
「災害時の体制を考えよう!!~お客様と社員の安全を守りたい~」
●水戸地本 水戸電力技術センター分会
「原発問題~20km圏内には絶対に立ち入らない」

第2セッション

●長野地本 長野総合車両センター支部 「新幹線の台車検査をしよう」
●千葉地本 京葉車両センター分会 
「安全安定輸送は技術力の向上と継承が大切!~検修・構内外注化問題を考える~」
●高崎地本 高崎車両センター分会
「検修全面外注化反対!技術継承の確立・本線業務は直轄!技術管理業務の拡大がJRの安全・安定輸送を確保する!」
●横浜地本 鎌倉車両センター分会
「安全で安心して働きがいのある職場を目指して二度と傷害事故を発生させない!!命は俺たちで守る!!~」

第3セッション

●八王子地本 立川運転区分会
「安全で働きがいの持てる乗務員職場とはどうあるべきか」
●東京地本 中野車掌区分会 「マニュアル車掌からの脱却を目指して」
●新潟地本 新潟新幹線車両センター分会
「E4系 新潟新幹線車両センター所属編成増加への対応 Part2」
●大宮地本 宇都宮線駅連合分会 「駅業務のプロを確立しよう!」

提言の要旨

<第一セッション>
--大震災からの復興 災害に強い鉄道づくり--

安全について、真剣に議論!
安全について、真剣に議論!

 第1セッションの討論では14名から発言があり、「震災と津波によってライフラインや情報通信網が寸断するなど、マニュアルを超越した状況で、命を最優先し津波から乗客を守った。その教訓は現場の判断であった。そのことからも現場第1主義や現場の判断を優先する企業風土をつくらなければならない」「駅が停電などで機能を失い、利用者や地域からの要望に応えられなかった。避難所としての機能を備えるべきだ」など、大震災の現場で経験したことから、現場第1主義や震災に強い設備づくりの重要性が述べられました。
甚大な被害を受けた沿岸7線区の復旧について「鉄道が寸断され学校へ通えない、病院にも通えない事態になっており、一部分であっても利用できるところから復旧させるべきだ」「復興のためには鉄道が必要だと地域から声が出ている」「ボランティア活動を通じ地域と一体となって鉄道と地域の復旧復興に取り組んで行く」など被災地域の復興のために鉄道の復旧が必要と現状や地元の要望も紹介されました。
そして、「原発は事故を起こせば生活を奪われる。放射能はいつ影響が出るか解らない。会社は放射線量調査の内容を出さない。電力の作業実態は4マイクロシーベルトの現場で藪に入り伐採作業などを行っているのが実態、JR東日本としての基準を作るべき」など、住居や職場を奪われた組合員の怒りや業務を行う際の基準を明確にすべきだという発言がありました。
また、大震災を労使の協力で乗り越えることを確認したにも関わらず、食事づくりや激励、差し入れ行動などに対し、規制・排除を行う現場長への怒りの声や「ローカルルールの是正の資料はJR東労組弱体化の手引き書として使われることは明らかだ。「仕掛ける」などの表現からもJR東労組破壊のためのものであり、便宜供与を一切行わないのはマル生と同じだ」と、JR東労組に対する会社の姿勢を糾弾する発言が出されました。

<第二セッション>
--鉄道技術の維持・向上と技術継承--


 第2セッションでは10名から発言があり、職場で発生している車両故障や傷害事故の原因究明員会の討論で出された意見や究明された原因や対策を基に、現在提案されている検修構内外注化に対する意見が出されました。「外注化ではトラブルや車両の運用など迅速な対応ができない」「偽装請負を気にしながらの対応では本来業務に集中できない」「車両故障などで瞬時に運用の判断ができる技術力は本体でつくるべき」「戻ることが補償されない若年出向は反対だ」「本線業務は本体に残さなければ安全安定輸送はできない」など、安全と技術継承は直轄で行わなければ異常時対応ができない。と全面外注化に反対する意見が出されました。
また、「ハイブリッド車両の流転では、検修社員がマニュアル通りエアを抜いたら手歯止めが効かずに動き出した」などの事象も報告され、マニュアル通りの対応では安全は守れないことや傷害事故が発生したが、原因究明もせずにカバーを付けただけで外注化したなど、作業優先の体質も報告されました。
そして、本体に残すべき業務、検修基地や検査態勢のあり方など将来展望を切り拓くためにも、業務拡大を増やすことなどが述べられました。

<第三セッション>
--自ら考え判断できるプロの育成--

 第3セッションは12名から発言がありました。「マニュアルに則った作業しかできない車掌では乗客の安全やサービスが守れない」など、異常時対応の現実が報告されました。そして、駅や車掌のプロの育成が早急な課題であると共に、駅や車掌が昇進制度の通過点として位置づけられている人事制度の問題についても出され「駅は慢性的な要員不足で、営業の業務はグリーンスタッフが中心に担っているが5年で契約が満了となり営業のプロが育たない。輸送職においてはライフサイクルの深度化がなければ成り立たない」など、営業職場の状況が報告され、駅のプロをつくるべきであり、委託やグリーンスタッフを拡大しない営業のライフサイクルや各系統の育成プランの作成とプロの育成の必要性が出されました。
また、プロを育成するためには、先輩の経験や自ら経験したことが職場で語り継がれる職場風土の確立や、環境づくり、現車や実物で訓練する生きた指導・訓練の必要性が出されました。

吉川書記長まとめ(要旨)
レールをつなげよう!全12地本の連帯を強化しよう!

連帯強化を訴える吉川書記長
連帯強化を訴える吉川書記長

 皆さん大変ご苦労様でした。3・11の大震災、原発事故を乗り越えて水戸の地でフォーラムを開催することができました。このフォーラムの成功は結成25周年を迎えるJR東労組運動の方向性が議論できたと確信しています。
第1セッションは、大震災の教訓から異常時に強い教育や地域での訓練の必要性、情報収集機能の強化が出されました。また、JR東日本の放射線管理基準は専門家のアドバイスもいただきながら、組合案をつくる必要があります。原発に対する価値観の問題の発言もありました。多くの連帯で脱原発方針を貫いていかなければなりません。
第2セッションでは、異常時に強いJRや若手に魅力ある検修職場。さらに車両は開発から、設計・製造・メンテナンス・廃車までの一環管理体制の構築を視野に入れ、検修外注化施策に立ち向わなくてはなりません。同時に新たな業務を創り出す必要性も実感しています。原因究明のために技術管理を強化することや、協約遵守、偽装請負などのコンプライアンスの問題を整理しつつ、本体に残す業務を明確にして、若年出向反対を基本にすえて、戻る職場を残していくたたかいをつくりださなければなりません。
第3セッションは運転、車掌、車両、駅それぞれ系統のプロジェクトについて深めることができました。自分で判断できる力を養えるような訓練が実施できる体制や環境を構築していかなければなりません。「駅業務のプロ」「運輸のプロ」の育成プランの検討や議論を深めていきます。また契約社員の問題についても社会にも発信をして院内懇談会も行います。連帯も広がりました。最後まで諦めないで共にたたかいましょう。
会社は「4本柱」が書かれている資料を出し、JR東労組に介入し組織の弱体化を目論んでいます。これは明らかに不当労働行為です。私たちが何もしなければ、就業規則と施設管理権で管理され、組合活動も会社が許可しないと出来ない職場になってしまいます。本部は本社に抗議しますが、職場からのたたかいを要請します。
私たちは世界的視点も入れた労働運動を創り出していかなければなりません。「えん罪・浦和電車区事件」に対する連帯は世界の労働者の常識です。またアメリカやヨーロッパでは格差問題で学生や市民が起ち上がっています。日本では原発集会に6万人が結集しました。たたかいを世界の労働者から学び連帯することも必要です。
最後に「レールをつなげよう!全12地本の連帯を強化しよう!」そして安全第一の職場風土を守り、会社を発展させるために「職場からの挑戦」で全組合員の運動づくりを通じて、組織を強化し難局を突破するたたかいを創り出していきましょう。

このページの先頭へ [↑]