国鉄改革を経て1987年3月3日、東日本旅客鉄道労働組合(当時「東鉄労」)は誕生しました。以降、JR東労組は一貫して「仲間と雇用・職場を守り、組合員・家族の安心・幸せの実現」のため、労働条件の改善はじめ、さまざまな取り組みを展開してきました。また同時に、社会貢献や平和を守る取り組みとしても実現するなか、JR東労組は団結力を強化し、さまざまな弾圧にも負けない職場活動を創りだしてきました。
2011年3月11日発生した東日本大震災では被災した仲間・家族、職場を守るため、その団結力は安否確認や支援活動・ボランティア活動等の取り組みで発揮されました。しかし福島第一原発事故は放射能汚染という、これまで私たちが知らなかった、向き合ってこなかった大きな問題を突きつけました。
結成25年に際し、JR東労組の次代を担う若い青年部員が中心となって「原発の恐ろしさに向き合い、正しく学び・感じること」「自分たちに何が出来るのか」等について発表しました。
声をあげないことは、認めたことと同じ!具体的に行動していこう
山本 太郎さん(俳優)
3・11で原発の嘘がわかった時、とても悩んだ。自分が生き延びたいという気持ちがわき上がってきた。
芸能界はスポンサーの不利益になるようなことを発言したら大変なことになる。しかし放射能汚染の現実をはっきりさせたら、東北新幹線も走ることができない、日本経済が破綻してしまう状況になる可能性もある。
年間1ミリシーベルトの被曝許容量が一気に20ミリシーベルトに上げられた。日本の国が狂っている。この不条理にものを言わなければ黙認したことになる。政府決定に加担しているに等しい。だから声をあげようと思った。
今日の皆さんの発表に感動した。これからも具体的に行動し、原発依存でない、子ども達が安心できる社会にするため、頑張っていこう。
原発が要るか、要らないかは福島をみればわかること
藤波 心さん(タレント・モデル)
3・11以降、私の価値観は大きく変わった。原発事故を大したことではないとみせる国の姿勢や報道、検査の不十分なまま食べて応援しようという、人の命の重さを無視した無責任なキャンペーン、日本はこんな国だったのかと思った。科学の進歩や経済の発展が悪いわけではないが、原発はリスクが高すぎると思う。その土地は立ち入り禁止になり、歴史が止まってしまう。原発から生まれた「豊かさ」は借金生活と似ている。借金はいつか返すもので、そのツケは子孫、弱い人たちや子どもにまわされる。 家族や友人、大切な人に伝え輪を拡げていこう。
小出助教から学んだ「内部被曝の怖さ」
当初、原発は安全で原爆とは違うものと思っていた。広島現地学習行動で、原爆の後遺症でいまも毎年5000名近くの方が亡くなっている。それこそが内部被曝の恐ろしさだと小出さんとの討論で学んだ。そして福島第一原発事故で起きたことを本当に理解できた。
また東京湾に配備されている原子力空母「ジョージワシントン」の原子炉が福島第一原発一号機と同じ容量をもっている。放射能漏れが生じた時にことを考えると深刻だ。
「人間らしく生きる」という観点からすれば、原発も原爆も、原子力空母も同じ平和の問題だと思う。
原子力発電は
“エコ・クリーンで安全なエネルギー” “石油資源は枯渇”
という嘘を見抜こう
石油資源が枯渇する、だから原子力というのは、まったく根拠のないことを学んだ。石油危機が言われる時期は、戦争が始まる時期と重なっているし、結局のところ、石油枯渇論はあたっていない。また原発の資源となるウランは究極埋蔵量も確認埋蔵量も石油以下だ。これが未来のエネルギーとは私たちには言えない。
一方、電力不足を理由に、政府は大飯原発が再稼働させた。しかし火力と水力で十分、電力はまかなえることがわかった。原発か、脱原発か、みんなで考えよう。
放射線汚染から職場、労働者を守るため
JRとしての管理基準を早急につくるべきだ
女性組合員が乗務した際、15μシーベルトという高い数値を計測しても会社は対策していない。JRは国の判断基準に固執している。しかし私たちは健康・安全な職場で安心して働くためにもJR独自の管理基準をつくるべきだと思う。 政府は、震災前の基準である一般人は年間1ミリシーベルトを年間20ミリシーベルトに引き上げた。この数値は放射線作業従事者の被曝範囲であり、子ども達が安心して暮らせる状況にはない。また新幹線はその区域を走行している。産廃業者が私たちの職場で車両からはずしたフィルター廃棄物の引き取りを拒否した。危険だからだ。JR東労組運動を通じて安心して働ける環境をみんなでつくっていかなければならない。
安心して働ける職場をつくるため、労働組合のチェック機能を発揮しよう
「営利優先」体質では、安全な職場・仕事をすることはできない。「命より営利優先」という企業体質の結果は、福知山線脱線事故が証明している。「自分の職場ではないから」等の「無関心という悪」に染まることなく、自分たちの安全のため、「無関心」と向き合い気づいた人から実践していこう。そのことですべての人に愛される企業になっていくのだ。
子どもたちの未来、夢を奪ってはならない
1986年に発生したチェルノブイリ原発事故では、広島型原爆の400倍の放射性物質が大気中に放出、事故発生5年後から、周辺の子ども達の甲状腺ガン発症が急増している。福島原発事故では事故から1年足らずで甲状腺検査で3割以上の子ども達の健康被害が報告されている。「原子力ムラ」の利権構造で原発マネーが動く一方で弱い立場の人たち、子ども達が犠牲にされている。すべての原発の廃炉にむけ運動を進めていくことは責務だ。
自らがいかに現実に立ち向かうのかが大事
大震災に直面し絶望感すら覚えた。しかしJR東労組は「自分たちに何ができるか」といち早く被災地に立ち様々な活動を展開してきた。そのなかで「人と人が支え合うこと」「思いやり」等、現代社会で忘れかけていた“人のこころ”を取り戻すことができた。原発も危険と知りながら原発マネーという麻薬に騙されてしまう現実もある。「自分さえ良ければという世の中でいいのか」ということをみんなが考えていかなければならない。
実行委員会で学んだこと
秋田地本・高橋さん
2月に秋田で開催された「震災がれきサミット」に参加した。被災地復興のため瓦礫受け入れはやむを得ないことと思っていたが、安易な考えだった。瓦礫処分は国や国民がしっかりと向き合い、日本の未来を考えていく課題だと思う。
秋田地本・三浦さん
広島平和研修で原発について学習してきた。原さんは講演で「核の恐ろしさを風化させないで」と訴えていた。震災から1年以上が経ち、関心が薄くなってきている。いま手を打たないと子ども達が泣くことになる。みんなで脱原発を訴えていこう。
千葉地本・高橋さん
まき散らされた大量の放射能は消せない。しかし、これ以上増やさない、これ以上頼らない。そのために、分会としても集会や講演会に参加し、脱原発のたたかいを分会一丸となってつくっていく。
千葉地本・宍戸さん
今回の震災発生まで原発は安全なものと思っていた。国の権力者の嘘に騙されていた。自分の勉強不足を実感した。これからは集会や学習会に参加し、権力者やマスコミの嘘に騙されず自分の見たこと、感じたことを信じ、運動をすすめていく。
高崎地本・大野さん
小出助教と意見交換を行ったなか「未来ある子ども達のために、生きている間にこの落とし前は必ずつける」という言葉に感銘を受けた。これからは、集会等に積極的に参加し、いまの子ども達、そして生まれてくる子ども達を放射能から守るために訴えていく。
長野地本・小林さん
この実行委員会の活動を通じ、原子力の何が嘘で、何が本当なのか見えてきた。学んだことを仲間に伝えていくことで脱原発のたたかいをつくっていきたい。いま避難している子ども達に笑顔を届けることができるよう取り組んでいきたい。
スムーズな流れで進行した司会者
ありがとうございます!!