JR東労組はこれまで弱者への支援、様々な差別や人権問題に対して改善を求め、声を出してきました。
1990年2月 内部疾患障害者の運賃割引制度新設
これまで身体障害者割引は視覚、聴覚、音声機能障害者及び肢体不自由者等、外部障害者に限り適用されていました。時代とともに内部障害者と外部障害者の取扱に差異がなく、また、ハンディキャップについても両者に差異がない事から運賃上も同一の扱いをするように申し入れを行いました。その結果、心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう、直腸又は小腸機能障害など内部障害者にも割引が適用されるようになりました。
1991年12月 精神薄弱者の割引制度新設
かねてから申し入れしていた精神薄弱者の割引新設について、本来国の社会福祉政策の一環として行われるべきものとの考えからJRの負担による割引は実施していませんでした。
しかし、精神薄弱者についても、知的機能障害と身体の機能障害という障害の態様に差異はあるものの、鉄道利用に際し基本的に常時介護者を必要とする場合がある事から、すでに割引が実施されている身体障害者と同じ状態であると運輸省からも認められ、割引が実施されるようになりました。
1994年4月 専門学校生徒等の定期割引制度新設
在日外国人学校の児童・生徒が利用しているJRの通学定期運賃は、日本の小・中・高校生と比較すると割高になっていました。1968年の運賃改定期に運輸省から「小・中・高校生を持つ家計負担の軽減を目的とした運賃改定の条件」として現在の通学定期運賃割引制度となりましたが、外国人学校はこの制度が適用されませんでした。
JR東日本は通学定期運賃の割引に関して、運賃改定期に一本化する考えをもとに検討を行ってきました。このような状況の中でJR東労組とJR総連は外国人学生等の通学定期運賃割引制度適用を主とする要求をJR各社に提出し、会社との団体交渉や運輸省への要請行動(94年2月8日)を積み重ねた結果、JR東日本は私たちの要求に対する回答を示しました。その回答は日本人学生と外国人学生の運賃を平等とすることでした。運賃割引が適用される学生は、全国で約2万2千人にのぼり、JR東日本管内では約1万2千人となり、割引による減収は1.8億円と言われました。
このようにJR東日本とJR東労組は1990年2月の「内部疾患障害者の運賃割引」1991年12月「精神薄弱者の運賃割引」そして1994年4月には専門学校生徒などの定期割引制度を実現しました。